グラカイメガクチート+先送りヤミカラス
すでに劇的な速度でさまざまな構築が考案されているVGC2016。特に最近はレパルダスの活躍を目にすることが非常に多くなったと感じています。
Generation Showdown上位構築でも多用されたレパルダスですが、嘘泣きや電磁波によるゼルネアス+ゲンシグラードン構築のミラーマッチ解決に一役買っているようです。メガゲンガーと並んでも非常に厄介なポケモンであり、非メガシンカの一般枠ですが勝ち抜くためには対策必須のポケモンになりそうです。
さて、圧倒的なパワーの禁止伝説級のポケモンが暴れまわるVGC2016ルールの中でも、ゲンシグラードン+ゲンシカイオーガ+メガシンカポケモンというのは誰もが一度は組んでみたくなる構築の1つだと思います。
ゲンシグラードンとゲンシカイオーガは共に全ポケモン中最強クラスの全体攻撃を持つ、VGC2016の中心となるポケモンたちの一角ではありますが、中途半端な素早さを持ち物でカバーすることができないため、素早さ操作が可能なポケモンと組ませるのが一般的です。
非常に派手な組み合わせとして葉緑素やすいすいとお先をどうぞを使った構築もありますが、今回は単体対象ながらより様々な状況での応用が可能な悪戯心+先送りに注目して、ゲンシグラードン、ゲンシカイオーガ、さらにはメガシンカポケモンを暴れさせる構築を目指してみました。
構築詳細
ヤミカラス@しんかのきせき(いたずらごころ)
ずぶとい:167-*-100-*-66-111
おいかぜ/さきおくり/ちょうはつ/イカサマ
グラードン@べにいろのたま(前:ひでり/後:おわりのだいち)
れいせい:(前)207-171-160-167-110-85/(後)207-201-180-222-110-85
だんがいのつるぎ/ふんか/だいちのちから/まもる
カイオーガ@あいいろのたま(前:あめふらし/後:はじまりのうみ)
れいせい:(前)207-*-111-222-160-85/(後)207-*-111-255-180-85
こんげんのはどう/しおふき/れいとうビーム/まもる
クチート@クチートナイト(前:いかく/後:ちからもち)
いじっぱり:(前)157-136-105-*-75-84/(後)157-158-145-*-115-84
じゃれつく/アイアンヘッド/ふいうち/まもる
クレセリア@オボンのみ(ふゆう)
なまいき:226-*-142-95-200-81
れいとうビーム/トリックルーム/スキルスワップ/てだすけ
ファイアロー@いのちのたま(はやてのつばさ)
ようき:153-133-92-*-89-195
ブレイブバード/ファストガード/おいかぜ/まもる
コンセプトと採用理由
コンセプトは言うまでもなさそうですが、ゲンシカイキ2種とメガクチートを豊富なS操作技を利用して暴れさせること。しかしながら追い風はトリックルームで返されるという弱点があり、この技だけをS操作の軸にするのは気が進みませんでした。
そこで大活躍するのが追い風と先送りを両立し、悪戯心によりトリックルーム時にも先制先送りが使用可能なヤミカラス。また今回の構築ではグラードン、カイオーガをいずれも最遅とし、クレセリアでトリルを狙う選出も用意しましたが、VGC2016のグラードンやカイオーガは、先発の天候の奪取や最遅でも追い風時に最速S102族まで抜ける絶妙な素早さのため、トリパ以外でも最遅同速が多発しがちなポケモンです。先送りはそのような状況でも活躍し、同速が怖いミラーマッチで安全に先制する手段になります。
ゲンシグラードンは先送りと合わせて一撃で相手のD無振りグラードンを葬ることができるC特化大地の力。ただし特殊メガレックウザの命の珠流星群耐えと被る特殊耐久ラインであり、可能であれば多少は削りを入れてから撃ちたいところ。
ゲンシカイオーガはできるだけ潮吹きを使いたいですが、高火力先制技が飛び交うルールなので根源の波動も採用。最近はカイオーガミラーも多く、水技はどちらかに絞り雷の採用を優先したいと感じることが多いです。
ここまでグラードンとカイオーガを特殊軸で採用したために、ゼルネアスへの打点に不安が残るので、メガシンカには耐性有利なメガクチートを選択しました。メガシンカ前限定ではありますが、威嚇でコンセプトのグラカイヤミカラスの物理耐久の補助もできる優秀なポケモンです。
ただメガクチートの配分はかなり悩む部分であり、追い風時にゼルネアス、イベルタル、パルキア、メガガルーラを抜けて、トリル時に最遅S90族を抜けるS84は可能な限り設定したいのですが、特殊耐久を伸ばしゼルネアスに対する安定感を高めたくもあります。アイアンヘッドを採用するなら、意地っ張りD振りで無振りゼルネアスを一発、メガ前メガ後に一発ずつジオコン後のダブルダメージマジカルシャインを耐えることが可能なようです。
最後の枠には、あまりにも猫騙しに無防備過ぎるのが気になりファストガード持ちを優先的に採用したいと考えていました。今回は、追い風・トリルからの攻めを基本としつつ、先送りによる不利なS関係を強引に突破するというコンセプトに高火力先制技のブレイブバードが合うと感じ、ファイアローを採用しました。最低限ではありますが地面・炎・フェアリーに対する後出しも可能であり、単純にグラードン・カイオーガと並べても活躍が期待できる優秀なポケモンです。
技構成のアレンジとしてはカイオーガにミラー対策の意味が強い雷、メガクチートに全体技として岩雪崩辺りが候補になります。また、ヤミカラスに守る、ファイアローに挑発が欲しい場面も少なからずありますが、お互いの特徴に合った技を現状は持たせています。
主な選出方針について
もちろんグラードン+カイオーガ+メガクチートに基本はヤミカラス、悪戯心や猫騙しを防ぎながら攻めるときはファイアロー、スタンダードな追い風軸など明らかにトリルが刺さる場合はクレセリアとなります。
グラードンとカイオーガは出し方によってお互いの攻撃を阻害してしまうことがあるため、ヤミカラスやファイアローが倒されるタイミングには注意が必要です。
いかに自分の展開を通せるかという構築であり、先送りで的確に倒す相手を見極めなければ鈍足ばかり残ってしまい押し負けてしまうことも少なくありません。
相手次第ではトリルの最終ターンに追い風、または追い風の最終ターンにトリルを狙い、グラードン、カイオーガ、メガクチートが先制で動ける状況を作り続けることが大切です。
結び
ゲンシグラードン+ゲンシカイオーガにはメガガルーラやメガボーマンダももちろん相性が良く、今回のヤミカラスのような尖ったサポート以外にも幅広い戦い方が可能だと思います。
現状こそ最遅が主流、比較的多数を占めるゲンシグラードンとゲンシカイオーガですが、WCS2010での高火力ディアルガがそうであったように、最終的にはどこまで素早さを伸ばすかという形になっていくかもしれません。特に特殊グラードンは相手のグラードンとのS関係をはっきりさせておくことで非常に動きやすくなるポケモンだと思うので、今後どのような構成が流行していくかに注目です。メガガルーラをS操作なしで抜くことができないのはやはり辛い部分ではありますが・・・。
またカイオーガもせっかく潮吹きがあるのに命中不安の根源の波動を軸にするのは怖い部分がありますが、圧倒的な特殊耐久を活かしてどんどん繰り出すような使い方もしてみたいと思っています。ゲンシカイオーガミラーに強いのは、やはり素早い雷持ちカイオーガになってくるのではないでしょうか。
悪戯心先送りを使えるポケモンは他にヤミラミがいますが、あちらは重力との両立が可能であり、ダークホールやゲンシグラードンとの相性が非常に良好です。ヤミカラスよりも実戦向きと言えるかもしれませんが、追い風をトリルで切り返されても、さらに先送りで切り返すことができるのはおそらくヤミカラスのみなので、ぜひ使ってみてください。